忘れて、思い出して、知る
二人の様子がおかしく、残るメンバーも画面を覗く。
そして、残る四人も栞たちと同じように絶句した。
苺が栞宛てに残したSDカードの中身は、ひどく残酷なものだった。
まず目に入ったのは、顔や腕など体のあちこちに傷のある男性の画像。
文章なんて目に入らなかった。
それから何枚か同じような傷のある人の画像が載っていた。
寺崎苺、手越小毬、岸本梨央、松山百合子はある目的を果たすために集まった。
それは、寺崎大地が立ち上げた会社を潰すこと。
その会社は表向きはまっとうな証券会社であるが、裏では詐欺に薬物販売、さらに社員に対する暴力などを行っていた。
正義感の強い苺は、夫にこのようなことをやめさせようと必死だった。
小毬は恋人に薬物を使用させた復讐。
梨央は兄に薬物を使用させた上に死に追いやった復讐。
百合子はほぼ毎日のように大地に暴力を振るわれていて、ただ会社を辞めるだけでは気が済まず、復讐するため。