【短編】こたつとみかん
「おぉー!美柑ちゃん!美人さんになったねー!」
階段を下りるとすぐ、親戚のおじさんに声をかけられた。
「あぁ…どうも…」
軽く笑ってから、おじさんを避けるようにしてキッチンへと向かった。
実は、こういう親戚付き合いは少し苦手。
いとこならまだマシだけど、兄弟が多いおばあちゃんやおじいちゃんたちのおかげで顔も名前もよく覚えていない人がたくさんいる。
知らない人ばかりが集まるこの時期だけ、まるで自分の家じゃないみたいな感じがして、それが嫌で、自分の部屋に閉じこもることが多い。
「ほら、もう高校生なんだからね。台所での仕事きちんとできなきゃだめよ」
キッチンに立つと、パタパタと忙しそうに動くママにすぐ説教された。