【短編】こたつとみかん
「達くんっ!」
「っ、、」
ママが驚いた声でそう呼んだので、私は恐る恐る後ろを振り返る。
わかってたことなのに、心臓の音はバクバクとうるさい。
泡だらけのお皿を落としそうになった。
「っ、よっ!みー坊!」
「その呼び方やめてよ!バカ小達(こたつ)!」
会いたくて仕方なかったはずなのに、やっぱりこんな返し方しか出来ない自分に腹が立つ。
一年前より…絶対デカくなってて余計ムカついた。
皮肉にも、彼のすぐ横には私たち2人の背比べの記録が引かれた柱がある。
ムカつく。
変わったのは身長だけじゃない…。
格好も、なんだか一段と都会の男の子って感じだ。
ムカつく。
「達くん、ご飯まだよね?居間で待ってて。今持って行くから」
「あぁ、どうも」
ママの声に、小達はそう言って居間へと向かって行った。