【短編】こたつとみかん
「ん、」
「おー!何、嫁修行?」
「は、意味わかんないし」
「だってみー坊に台所とか似合わなすぎだって」
顔を見ればすぐにそうやってふざけてくるこいつの、どこがそんなに好きなんだろう。
いくら考えても、多分答えは見つからないと思う。
「じゃ、食べたら呼んでね」
「は?何で?座ればいいのに」
何で…久しぶりでずっと好きで、勝手にこっちが気まずいだけなのかもしれないけど、何でこいつはこんなにも平気なのよ。
彼はどんどん先に大人になって行く。
「ママに怒られるもん」
そう言いながらも横に腰を下ろして、コの字型に並んで座る。
またママに怒られちゃうな。
コタツの中に足を入れると、冷えていた足がじんわりと暖かくなっていく。
あぁ、これ立てなくなるやつだ。