幸せの晴れ


私の妊娠は芦田さんしか知らない。


みんなにはだいぶ迷惑をかけてしまっていて申し訳ないと思っているし、

そんなみんなの優しさが嬉しかった。


あんなにも頑なに他人に心を許す事がなかった私がウソみたいに、

今ではすっかりみんなと話すようになっていた。


これは全部晴也のおかげ。


晴也が私の心を溶かしてくれたんだ。


「陽菜ちゃん、ご飯食べて帰らない?」


勤務時間が終わりスタッフルームで着替えていると、

一緒にあがった芦田さんが誘ってくれた。


チラッとケータイを開き、清水さんからの連絡がない事を確認した。
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