幸せの晴れ
だって、私と晴也の間には“好き”も“愛してる”もなかったから。
けれど、あの時だけは私と晴也の心は1つになったと信じている。
「ごめんね。言いたくない事だってあるよね。」
“お菓子も開けようか”と瑞穂ちゃんは袋に手をかけた。
「…私、前に1人が楽って言った事あるでしょ?」
私が急に話しだし、瑞穂ちゃんはお菓子の袋を開けようとしている手を止めた。
「小さい頃、親に捨てられたの。」
「えっ…。」
「元々、父親はいなくて母と祖母と3人で暮らしてたんだ。
でも、ある日母が突然いなくなっちゃって。」