幸せの晴れ


「話って?もうチャイム鳴るんだけど。」


ダルそうに言う私に真ん中の女が1歩近付いた。


次の瞬間、女の右手が上がりパチンと乾いた音が響く。


私はこの女に平手打ちをされたのだ。


「晴也くんに近付くな。」


女はそう言った。


なるほど、思い出した。


どっかで見た事ある顔だなと思ったら、

この女、晴也の彼女だ。


他人に興味がないから、誰がどういう人なんて覚えていない。


でも、この女はよくうちのクラスに来て


「晴也くん、晴也くん」


と晴也にくっついていた。


この女が来る度誰かが、


「また晴也の彼女来てる」


と言っていた。
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