同性愛者。

「だから、咲。ありがとう」

「なんで?」


あたしが目を丸くして朋にそう聞く。


「だって、咲が居なかったら…わたしは告白なんて出来ないよ」

「……もしかして、あたしが千佳先輩に告白した…から……?」


あたしがそう言うと、朋は小さく頷いていた。


あたしの告白

それが朋に勇気を与えた。


これがよかったのかどうか、あたしにはやく分からない。

だけど、朋にはよかったんだ。

それが、なんだか嬉しい。


「だから、ありがとう」

「……うん」


あたしは照れながら、笑顔で笑って見せた。


キーンコーン……。

チャイムが鳴り響いた。


今日はどうなるのか分からないけど、

なんだか、いいことがある気がするよ……―――
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