同性愛者。

「咲」

「言いたくありません」


あたしはそう言うと、千佳先輩はあたしの肩を掴んだ。

強く。
肩に痛みが走る。


「正直に言え!私は咲のことが心配で聞いているんだ!」

「いいです。思い出したくありません」


きっぱりと言う言葉の数々。

あたし、千佳先輩にひどいこと言ってる。


でも、これは言いたくない。


秋谷先輩から聞いたんだろうけど。

言いたくない。


あたしはもう、
胸が痛くて仕方ないよ……―――


「咲…。お願い」

「……嫌、嫌です…」
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