同性愛者。
あたしは必死になってそう言う。

あたしの嫌な過去を、もう誰にも言いたくないから。


「……そう。なら、仕方ない」


千佳先輩はそう言って、あたしの肩から手を離す。

そして、吐き捨てるように「別れる」と呟いた。


「……え?」


あたしは思わずそう言うと、千佳先輩はあたしを睨んでいた。


「恋人同士なのに、こんなちっぽけな隠し事をするくらいなら、私は別れたいと思う」

「……そ、そんなの…!」


あたしの手は震えていた。

逆に、あたしが千佳先輩の肩を掴んで言う。


「嫌です!!あたし、千佳先輩のこと大好きです! 別れるなんて、言わないでください!!」
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