同性愛者。
そう考えながら歩いていると、
なんだか自分も落ち込んでしまいそうだ。
怖いとは思わない。
恐ろしいとも思わない。
ただ、思いたくないだけなのかもしれない。
それでもいい。
それでも…いいんだ。
「千佳?」
いきなりそんな声がして、振り返った。
仲のいい男子。
名前は隆司。
「なんか落ち込んでるじゃん?千佳らしくないなぁ」
「そう?……まあ、落ち込んでいることに違いはないけどね」
私は力のない笑顔を見せる。
雨が降り続く中、私と隆司は歩くことにした。
雨の音が煩く感じる。