同性愛者。
私が目を丸くしていると、隆司が言う。


「俺、その子と中学校が一緒でさ。その話、すっごい有名な話だぜ?」

「そうなんだ」


有名……か。

そんなくだらないことで有名になってどうするのよ、咲。


「名前はなんだったかなぁー……? まあ、そこまでは分からないけど、可愛い子だったってことは知ってるぜ?」

「……そっか」


私はそう言って、笑顔になる。

力のない笑顔。
心が痛くなるよ……。


「まあ、千佳がその子に元気を与えればいいじゃん?」

「へ?」


私は隆司のセリフに目を丸くした。

まさか。
そんなことを言うなんて。


隆司、
頭は大丈夫なの?
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