チェーンソーの警報
次の日から私は施設で暮らすことになった。

私は施設に馴染めなかったが、16歳のとき、里親に引き取られた。

まあ、その里親も、家にほとんど帰って来ないから一人暮らしも当然なのだが。

そんな暮らしが続き、今私は家に1人だ。

きっと今日も帰って来ない。

悲しくはないが、記憶に残っている家族の温かさがほしい。 たまにそう思ってしまう。

私はガラスの上から写真を優しく撫でると元に戻し、シャワーを浴びた。

リビングで夕飯を食べていると、目に飛び込んできたニュースに目を見開いた。

『昨日、背中を大きく切り裂かれた異常死体が発見されました。このような事件は11年前にも多数起こっており、今回も3人におよぶ被害者がでています。警察は11年前の犯人と同一人物と見ており、捜査を行っています。なお、犯人は被害者の家に犯行を加える前、手紙を送っているそうです』

私は急いで家のポストを確認した。

私が生き残りだとバレたら真っ先に殺されてもおかしくない。

「はぁ」と私は肺に溜まっていた空気を全て吐き出すようにため息をついた。

ポストの中に手紙は入っていなかった。

「大丈夫。まだバレてない」

胸を撫でながらそう言い聞かせると、私は夕飯の後片付けを始めた。
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