キミがくれたコトバ。
2
「話があるんだ……。」
「何……?」
私は恐る恐る尋ねる。
怖いよ。
何でだろう。今までには1度もなかったような雰囲気。
明人くんは、いつだって私の王子様で、優しかったはずなのに……。
今はそれが怖い。
「もう……、僕と別れてほしい……。」
重いもので、頭をガツンと殴られたような気分だった。
「えっ……?」
別れるって……、何……?
「ど、どうして……?私、何が悪いことしたかな?」
明人くんには、付き合った時から、嫌われたくなくて、頑張って努力してきたつもりだったのに、どうして……?
「お節介だったとか……?」
私が、勝手に明人くんを王子様だと思い込んで、明人くんに尽くしすぎて、それで……、
「違うよ!」
違うの……?
じゃあ……、何……?
身に覚えがないよ……。
「身長だよ!!」
えっ……、身長……?
意外すぎる言葉に、動揺を隠せない。
今、どんな顔で明人くんを見つめているのだろう。
「お前と歩いてると、父親と間違えられそうで嫌なんだよ。」
え……、えっ……?
な、何を言ってるの?明人くん。
意味が分からないよ。
「身長、小1の時からクラスで1番低いんだっけ?ごめん、普通に論外。」
論外……。
「だから、もうお前とは無理。別れよう。」
私は何も言えなくて、どうしたらいいのか分からなくて、しばらくそこに、佇んでいた。
え……、何……?私……フラれたの……?えっ……?
頭の中で、何が起こったのか理解できた瞬間、
一気に涙が込み上げてきた。
駄目だ。こんな所で泣いちゃ……。
私はやっとの思いで涙を堪える。
身長……?何で?どうして身長が低いだけで、別れなくちゃいけないの……?そんなに迷惑だった?私と歩くことが……。
父親に間違えられるのが嫌だなんて……。そんな……。
そう思うと、急に怖くなった。
あんなに優しい明人くんでさえ、そう思うんだ。
だとしたら、他のみんなは……?みんなはもっと……。
ずっと、周りから論外だと思われていたっていうこと……?そんな……。
今、立ってるこの瞬間だって、私のことを、良く
思っていない人が、沢山いるのかもしれない。
そんなの嫌だ……、怖い……。もう、生きていけない……。
私は何も考えず、歩道橋まで走った。
人通りが少ない歩道橋だし、ここなら……。
私は歩道橋の手すりに足をかける。
そんなこと、今まで考えたことすらなかった。
私の身長が、プラスになるとも、マイナスになるとも思ったことがなかった。
王子様だと思っていた人は、王子様じゃなかった。
王子様がいない。
いや、それ以前に、私はお姫様ではない……。
だから、王子様がいないのは、当たり前だったんだ……。
何でそれにもっと早く気づかなかったんだろう……。
明人くんがいないなら、王子様がいないなら、私は生きている意味なんてない。
夢だった。夢は所詮、現実にはならない。
夢だったんだ。
今度、生まれ変わったら、もっと……、高い身長で……、それで、お姫様に……、
生まれてくるんだ。
全体重を、前方に傾けたとき……、
「ちょっと!何やってるんですか!!」
誰かが私の腕を引いた。
「離してください!!」
私は必死でその手を振りほどこうとする。
「離しません!こんなこと駄目ですよ!!」
男の人……。
この人だって、思ってるんでしょ……?
私の身長のこと、悪く思っているんでしょ……?
「心の中では笑ってるくせに!こういう時ばっかり助けるんですね!最低です!!」
もう、わけが分からなくて……、明人くんに対する、悲しみとか、怒りとか……、
私……、どうして、この人に当たっているんだろう……。
この人は、ただ助けてくれただけなのに。
「……は?何、言ってるんですか?」
そして何故か、顔を見たら、涙が溢れ出てきた。
嫌だ私、何でここに来て涙が出てるの?
明人くんに別れを告げられた時は、ショックだったはずなのに、涙が出なかった。
なのに、何で、今なの……!?
しかも、人前なのに……。
「……何かありましたか……?」
涙が止まらなくて、言葉にならない。
「取り敢えず、こっち。」
その人は、私の手を引いて、人気が全く無い、公園のベンチに座らせた。
「はい、どうぞ。」
近くの自動販売機で、はちみつレモンを買って
くださった。
「そんな……。」
「遠慮しないでください。こういう時は、お互い様ですよ。」
「あ、ありがとうございます。 」
私は素直にそれを受け取ることにした。
「それで?何があったんですか?」
「……彼氏に……、フラれました……。」
そう言うと、その人は目を丸くした。
「彼氏にフラれただけで、こんなことしちゃ駄目ですって!これからいい出会いがあるかもしれないのに!」
「そうじゃないんです……。フラれた理由が……。」
思い出すだけでも、死にたくなる。
「私、2日後から、高校生になるのに、こんな身長だから……。」
低いって、思われたよね……。一緒にいたくないって、思ったよね……。
「それで、私といると、彼氏じゃなくて、父親に見えるから、一緒に歩きたくないって言われてしまって……。」
だから、もう生きていても仕方がないと思ったんだ。
「そっか。」
その人は、私の頭を、ポンポンと撫でた。
「もう、生きてる意味なんて無いんです。どうせみんな、私のこと、良く思ってない。一緒に歩きたくないって思ってる。馬鹿にしてる。」
「そんなこと……、」
「あるに決まってます!」
かなり強い口調で、そう言ってしまった。
「落ち着いてください。」
「あなただって、そう思ってるんでしょ?それなのに、そういう同情はいらないです。」
「僕は……、」
「嘘つかないでくださっ……!!」
チュッ……
え……?えっ……?えっ……!えええっ!?
何これ何これ……!キ、キス……!?!?
「とにかく、そんなに自分を否定しないでください。」
そんな……、何でそんなに平常心でいられるの!?
「あ、そういえば僕も、2日後に入学式なんですよ。偶然ですね。」
その人は、クスクスと笑う。
だから、何で!?何でそんなに……!!
「高校生活、お互いに頑張りましょうね!じゃあ。」
そう言うと、その人は立ち上がって、歩き出した。
あ、ちょっと……!
「ちょっと待ってください!」
その人が振り返る。
「あの、ありがとうございます……!」
な、何言ってるんだ、私!!
「いえいえ。もうあんなことしちゃ駄目ですよ。」
「え、あ、はいっ!」
私は、慌てて返事をした。
な、なななな何!?、今の!!
キ、キスなんて……、明人くんともしたこと無かったのに……。
「話があるんだ……。」
「何……?」
私は恐る恐る尋ねる。
怖いよ。
何でだろう。今までには1度もなかったような雰囲気。
明人くんは、いつだって私の王子様で、優しかったはずなのに……。
今はそれが怖い。
「もう……、僕と別れてほしい……。」
重いもので、頭をガツンと殴られたような気分だった。
「えっ……?」
別れるって……、何……?
「ど、どうして……?私、何が悪いことしたかな?」
明人くんには、付き合った時から、嫌われたくなくて、頑張って努力してきたつもりだったのに、どうして……?
「お節介だったとか……?」
私が、勝手に明人くんを王子様だと思い込んで、明人くんに尽くしすぎて、それで……、
「違うよ!」
違うの……?
じゃあ……、何……?
身に覚えがないよ……。
「身長だよ!!」
えっ……、身長……?
意外すぎる言葉に、動揺を隠せない。
今、どんな顔で明人くんを見つめているのだろう。
「お前と歩いてると、父親と間違えられそうで嫌なんだよ。」
え……、えっ……?
な、何を言ってるの?明人くん。
意味が分からないよ。
「身長、小1の時からクラスで1番低いんだっけ?ごめん、普通に論外。」
論外……。
「だから、もうお前とは無理。別れよう。」
私は何も言えなくて、どうしたらいいのか分からなくて、しばらくそこに、佇んでいた。
え……、何……?私……フラれたの……?えっ……?
頭の中で、何が起こったのか理解できた瞬間、
一気に涙が込み上げてきた。
駄目だ。こんな所で泣いちゃ……。
私はやっとの思いで涙を堪える。
身長……?何で?どうして身長が低いだけで、別れなくちゃいけないの……?そんなに迷惑だった?私と歩くことが……。
父親に間違えられるのが嫌だなんて……。そんな……。
そう思うと、急に怖くなった。
あんなに優しい明人くんでさえ、そう思うんだ。
だとしたら、他のみんなは……?みんなはもっと……。
ずっと、周りから論外だと思われていたっていうこと……?そんな……。
今、立ってるこの瞬間だって、私のことを、良く
思っていない人が、沢山いるのかもしれない。
そんなの嫌だ……、怖い……。もう、生きていけない……。
私は何も考えず、歩道橋まで走った。
人通りが少ない歩道橋だし、ここなら……。
私は歩道橋の手すりに足をかける。
そんなこと、今まで考えたことすらなかった。
私の身長が、プラスになるとも、マイナスになるとも思ったことがなかった。
王子様だと思っていた人は、王子様じゃなかった。
王子様がいない。
いや、それ以前に、私はお姫様ではない……。
だから、王子様がいないのは、当たり前だったんだ……。
何でそれにもっと早く気づかなかったんだろう……。
明人くんがいないなら、王子様がいないなら、私は生きている意味なんてない。
夢だった。夢は所詮、現実にはならない。
夢だったんだ。
今度、生まれ変わったら、もっと……、高い身長で……、それで、お姫様に……、
生まれてくるんだ。
全体重を、前方に傾けたとき……、
「ちょっと!何やってるんですか!!」
誰かが私の腕を引いた。
「離してください!!」
私は必死でその手を振りほどこうとする。
「離しません!こんなこと駄目ですよ!!」
男の人……。
この人だって、思ってるんでしょ……?
私の身長のこと、悪く思っているんでしょ……?
「心の中では笑ってるくせに!こういう時ばっかり助けるんですね!最低です!!」
もう、わけが分からなくて……、明人くんに対する、悲しみとか、怒りとか……、
私……、どうして、この人に当たっているんだろう……。
この人は、ただ助けてくれただけなのに。
「……は?何、言ってるんですか?」
そして何故か、顔を見たら、涙が溢れ出てきた。
嫌だ私、何でここに来て涙が出てるの?
明人くんに別れを告げられた時は、ショックだったはずなのに、涙が出なかった。
なのに、何で、今なの……!?
しかも、人前なのに……。
「……何かありましたか……?」
涙が止まらなくて、言葉にならない。
「取り敢えず、こっち。」
その人は、私の手を引いて、人気が全く無い、公園のベンチに座らせた。
「はい、どうぞ。」
近くの自動販売機で、はちみつレモンを買って
くださった。
「そんな……。」
「遠慮しないでください。こういう時は、お互い様ですよ。」
「あ、ありがとうございます。 」
私は素直にそれを受け取ることにした。
「それで?何があったんですか?」
「……彼氏に……、フラれました……。」
そう言うと、その人は目を丸くした。
「彼氏にフラれただけで、こんなことしちゃ駄目ですって!これからいい出会いがあるかもしれないのに!」
「そうじゃないんです……。フラれた理由が……。」
思い出すだけでも、死にたくなる。
「私、2日後から、高校生になるのに、こんな身長だから……。」
低いって、思われたよね……。一緒にいたくないって、思ったよね……。
「それで、私といると、彼氏じゃなくて、父親に見えるから、一緒に歩きたくないって言われてしまって……。」
だから、もう生きていても仕方がないと思ったんだ。
「そっか。」
その人は、私の頭を、ポンポンと撫でた。
「もう、生きてる意味なんて無いんです。どうせみんな、私のこと、良く思ってない。一緒に歩きたくないって思ってる。馬鹿にしてる。」
「そんなこと……、」
「あるに決まってます!」
かなり強い口調で、そう言ってしまった。
「落ち着いてください。」
「あなただって、そう思ってるんでしょ?それなのに、そういう同情はいらないです。」
「僕は……、」
「嘘つかないでくださっ……!!」
チュッ……
え……?えっ……?えっ……!えええっ!?
何これ何これ……!キ、キス……!?!?
「とにかく、そんなに自分を否定しないでください。」
そんな……、何でそんなに平常心でいられるの!?
「あ、そういえば僕も、2日後に入学式なんですよ。偶然ですね。」
その人は、クスクスと笑う。
だから、何で!?何でそんなに……!!
「高校生活、お互いに頑張りましょうね!じゃあ。」
そう言うと、その人は立ち上がって、歩き出した。
あ、ちょっと……!
「ちょっと待ってください!」
その人が振り返る。
「あの、ありがとうございます……!」
な、何言ってるんだ、私!!
「いえいえ。もうあんなことしちゃ駄目ですよ。」
「え、あ、はいっ!」
私は、慌てて返事をした。
な、なななな何!?、今の!!
キ、キスなんて……、明人くんともしたこと無かったのに……。