キミがくれたコトバ。
23
「う、うん。いいよ。」
『ねえ、少しだけ言いたいことがあるんだ。だから、観覧車、乗らない?』
そんなことを言われて、Noと言えるはずがなかった。
観覧車。
健吾との時は乗りたかったけど、乗れなかった。
ずっと憧れの、乗り物……。
元々遊園地であっただけで、今はもう違う。
だからかな?
あまり人が並んでいなかった。
そのため、順番はすぐに回ってきた。
2人でそれに乗り込む。
ドキドキする……。
「ご乗車時は、暴れたりしないでください。それでは、いってらっしゃ〜い!」
パタンッ
ドアが閉まる。
ど、どうしよう……。
そ、颯磨くんと2人で、観覧車なんてっ……!
心臓が……、持たないよ……。
そんなこと、乗る前から分かっていたはずなのに……。
「乗りたかったんじゃない?」
颯磨くんがくんが言う。
「な、何で分かるの……!?」
颯磨くんって、まさか人の心が読めるとか……。
いや、そんなはずないか。
「表情見てれば分かる。」
表情……。
そんな顔してるつもりなかったなのに……。
恥ずかしい……。
「ごめんね……。気を遣わせちゃって……。」
「ううん。僕も乗りたかったんだ。観覧車って、景色を眺めるのに最高で。好きだな。」
ど、どうしよう……!
こ、鼓動が……、止まらないよ……!
でも、なんか、今だったら言える気がする。
ちゃんと。
私が好きなのは京くんじゃないって……。
観覧車がてっぺんに近づく。
漫画やドラマでよくあるシーン。
今だ……!
「あ、あの……!」
「好きだった……!」
颯磨くんが小声で言った。
「……えっ……?と……、観覧車……?」
「違う。……日奈子のこと……、す、好きだった……。」
!?!?!?
なっ……!!!!!
す、好き!?だった……!?!?
「でも、今は好きじゃないから。大丈夫。」
颯磨くんが、落ち着いた声で言う。
え、え、え……?
な、何て答えたらいいの……?
「今は本当に何とも思ってない。……それを、言いたくて。」
そ、そっか……。
そっか……。
「なんだ。そうだったんだ。」
何だか力が抜けてしまった。
「私も、颯磨くんのこと、好きだったよ。」
勢いで、そう言ってしまった。
「っ………… ! 」
「なんだ。両想いだったんだね、私達。」
「それは知らなかった。」
「残念。タイミングがずれちゃって。」
違う。
本当は今も好き……。
「本当。でも、そのおかげで、日奈子は京のことが好きになれたし、僕も応援できるし。」
もう言えない。
言えなくなってしまった……。
「そ、そうだね。」
「あ、待って。」
颯磨くんが、私を見つめる。
っ……そ、そんなに見つめたら……!!
「何か嘘ついてる……?」
「えっ?」
「無理して嘘ついてる時の、笑い方だから。」
何で分かってしまうのだろう……?
こんな些細なことでも、全部お見通しだ。
「嘘なんてついてないよ。全部、本当だよ。」
「そう?ならいいけど。」
確かに、私は『京くん』が好きとは、一言も言っていない。
『王子や大輔くんじゃない保健室登校者』が好きだと言っただけだ。
颯磨くんは王子じゃない。
颯磨くんは、ただの『水瀬 颯磨』だ。
私の中で、特別な人だけど、王子だから特別だという意味ではないよ。
だから、厳密に言えば嘘はついていない。
ただ、颯磨くんが誤解しているだけで……。
観覧車が1周して、元の場所へ戻ってきた。
「お疲れ様でした〜!またのご乗車をお待ちしておりま〜す!」
観覧車を降りて、私達はしばらく無言だった。
「今日は付き合わせちゃってごめん。」
不意に颯磨くんが言った。
「ううん、そんなことない。楽しかったよ。」
「良かった。家の近くまで送るよ。」
「それは大丈夫。」
「でも……、」
「大丈夫だから……!」
早く。
早く離れないと……。
「そっか。じゃあ。」
「うん。さよなら。」
今日限りだ。
私は颯磨くんに背を向けて、歩き出した。
我慢していた涙が、溢れ出る。
遅いよ……。
何で今更……好きだなんて……。
遅すぎる。
もう終わったんだ。
もう過去なんだ。
今は何とも思ってなくて……。
一つだけ君に、嘘をついた。
『好きだった』んじゃない。今でも君が……、
『好き』だよ……。
「う、うん。いいよ。」
『ねえ、少しだけ言いたいことがあるんだ。だから、観覧車、乗らない?』
そんなことを言われて、Noと言えるはずがなかった。
観覧車。
健吾との時は乗りたかったけど、乗れなかった。
ずっと憧れの、乗り物……。
元々遊園地であっただけで、今はもう違う。
だからかな?
あまり人が並んでいなかった。
そのため、順番はすぐに回ってきた。
2人でそれに乗り込む。
ドキドキする……。
「ご乗車時は、暴れたりしないでください。それでは、いってらっしゃ〜い!」
パタンッ
ドアが閉まる。
ど、どうしよう……。
そ、颯磨くんと2人で、観覧車なんてっ……!
心臓が……、持たないよ……。
そんなこと、乗る前から分かっていたはずなのに……。
「乗りたかったんじゃない?」
颯磨くんがくんが言う。
「な、何で分かるの……!?」
颯磨くんって、まさか人の心が読めるとか……。
いや、そんなはずないか。
「表情見てれば分かる。」
表情……。
そんな顔してるつもりなかったなのに……。
恥ずかしい……。
「ごめんね……。気を遣わせちゃって……。」
「ううん。僕も乗りたかったんだ。観覧車って、景色を眺めるのに最高で。好きだな。」
ど、どうしよう……!
こ、鼓動が……、止まらないよ……!
でも、なんか、今だったら言える気がする。
ちゃんと。
私が好きなのは京くんじゃないって……。
観覧車がてっぺんに近づく。
漫画やドラマでよくあるシーン。
今だ……!
「あ、あの……!」
「好きだった……!」
颯磨くんが小声で言った。
「……えっ……?と……、観覧車……?」
「違う。……日奈子のこと……、す、好きだった……。」
!?!?!?
なっ……!!!!!
す、好き!?だった……!?!?
「でも、今は好きじゃないから。大丈夫。」
颯磨くんが、落ち着いた声で言う。
え、え、え……?
な、何て答えたらいいの……?
「今は本当に何とも思ってない。……それを、言いたくて。」
そ、そっか……。
そっか……。
「なんだ。そうだったんだ。」
何だか力が抜けてしまった。
「私も、颯磨くんのこと、好きだったよ。」
勢いで、そう言ってしまった。
「っ………… ! 」
「なんだ。両想いだったんだね、私達。」
「それは知らなかった。」
「残念。タイミングがずれちゃって。」
違う。
本当は今も好き……。
「本当。でも、そのおかげで、日奈子は京のことが好きになれたし、僕も応援できるし。」
もう言えない。
言えなくなってしまった……。
「そ、そうだね。」
「あ、待って。」
颯磨くんが、私を見つめる。
っ……そ、そんなに見つめたら……!!
「何か嘘ついてる……?」
「えっ?」
「無理して嘘ついてる時の、笑い方だから。」
何で分かってしまうのだろう……?
こんな些細なことでも、全部お見通しだ。
「嘘なんてついてないよ。全部、本当だよ。」
「そう?ならいいけど。」
確かに、私は『京くん』が好きとは、一言も言っていない。
『王子や大輔くんじゃない保健室登校者』が好きだと言っただけだ。
颯磨くんは王子じゃない。
颯磨くんは、ただの『水瀬 颯磨』だ。
私の中で、特別な人だけど、王子だから特別だという意味ではないよ。
だから、厳密に言えば嘘はついていない。
ただ、颯磨くんが誤解しているだけで……。
観覧車が1周して、元の場所へ戻ってきた。
「お疲れ様でした〜!またのご乗車をお待ちしておりま〜す!」
観覧車を降りて、私達はしばらく無言だった。
「今日は付き合わせちゃってごめん。」
不意に颯磨くんが言った。
「ううん、そんなことない。楽しかったよ。」
「良かった。家の近くまで送るよ。」
「それは大丈夫。」
「でも……、」
「大丈夫だから……!」
早く。
早く離れないと……。
「そっか。じゃあ。」
「うん。さよなら。」
今日限りだ。
私は颯磨くんに背を向けて、歩き出した。
我慢していた涙が、溢れ出る。
遅いよ……。
何で今更……好きだなんて……。
遅すぎる。
もう終わったんだ。
もう過去なんだ。
今は何とも思ってなくて……。
一つだけ君に、嘘をついた。
『好きだった』んじゃない。今でも君が……、
『好き』だよ……。