キミがくれたコトバ。
30
「ちぃ〜っす!」
大輔くんが、寝坊せずに学校へ来た。
ということは、何かあるということだ。
「で、ビックニュースっていうのは何?」
大輔くんにそう言うと、大輔くんは、目を見開いた。
「つ、ついに日奈子ちゃんまでエスパーに!?」
「違うよ。」
今のだったら、誰にだって分かっるって。
「あ、そんなことより!『恋人迷路』って知ってるか!?」
すると、澄春くんが口を開いた。
「知って……」
「澄春以外!!!!!」
澄春くんが言い終わらないうちに、大輔くんが口を挟んだ。
「澄春が知ってるのは予想してた。だからそれ以外の人!!」
ということは、私と京くんか。
「私は知らない。」
「僕も。」
すると、大輔くんは、たちまち得意げな顔になった。
「『恋人迷路』ってのはな、2人で出てこられたら、その2人は永遠に結ばれるっていう迷路で、文化祭の後夜祭でやるんだって。」
「へぇ。なんかロマンティック……!」
一瞬だけ颯磨くんが頭を過ぎり、慌てて消す。
「だ、大輔くんは、誰かと行くの?」
「それがなー、迷ってるんだよ。なんてったって、俺はモテモテだからなー。」
嬉しそうに話す、大輔くん。
「日奈子ちゃんは颯磨と行けば?」
「っ……!なっ……!!」
ちょっ!大輔くん!!!
「な、何でよ。」
「何でって、俺的にお似合いだから。」
っ……!?!?
「で、でも颯磨くんは、私のことなんて……」
ガラッ!
その瞬間、保健室のドアが勢いよく開いた。
「日奈子!!」
え……。
「健吾……。」
あー……。
完全に記憶から消されてたな……。
「『恋人迷路』、もう誰と行くか決まった!?」
「え、えっと、それは、まだだけど……。」
「まだなら、俺と行こう!」
もう、さすがに、お姫様の仮面を被らなくても、健吾を許せる。
でも、それとこれとは少し別だ。
「それはちょっと……、無理。」
私はすぐに断った。
「何でだよ。先約入ってないなら俺と……、」
「日奈子ちゃんは、僕と一緒に行くから。だから、無理です。」
えっ……!澄春くん……?
「誰だ……?」
「橋田澄春です。」
「お前より俺の方が先に……!」
「先とか後とか関係ありますか?」
澄春くん、どうして……?
グラッ
え、何で颯磨くんと被せてるのよ、私……。
「あの……!私、澄春くんと行くから……。」
勢いでそう言った。
私のせいで、澄春くんに迷惑かけたくないから。
「そんな……。で、でも俺、諦めないから!」
それだけ言うと、健吾は保健室を出て行った。
「澄春くん、ありがとう。ごめんね……。」
「え?いや……、僕の方こそムキになっちゃって……。ごめん。」
「そんなことないよ。凄く助かった。」
「なら、良かった。」
その時、保健室のすぐ側で、女子達の話し声が聞こえてきた。
「ねぇ、聞いた!?王子、『恋人迷路』、橋田と行くらしいよ!!」
えっ……、橋田さん……?
目の前が真っ暗になった。
「日奈子ちゃん?」
澄春くんの、そんな問いかけも、聞こえていなかった。
「は!?何それ!!図々しいにも程があるよね!」
「それな〜。」
颯磨くん……、あの美人な橋田さんと行くんだ……。
「そっか……。」
「日奈子ちゃん……!?大丈夫……!?」
終わったんだ。
とっくに、終わらせているつもりだった。
でも、何故か今、はっきりと分かった。
颯磨くんが私を好きだったのは、もう完全に過去の話。
遅かった。
遅すぎたんだよ……。
「ねぇ、澄春くん。」
だったら、もう諦めよう。忘れよう。
「本当に私と一緒に『恋人迷路』、回ってくれ ませんか……?」
「えっ……!?」
嫌だったら……、健吾でもいい。
「で、でも、本当にいいの……?」
そんなこと聞かれたって……。
「いいよ……。」
もう、嫌だから。
恋なんて、いいこと一つもない。
……好きにならなければ良かった……。
「ちぃ〜っす!」
大輔くんが、寝坊せずに学校へ来た。
ということは、何かあるということだ。
「で、ビックニュースっていうのは何?」
大輔くんにそう言うと、大輔くんは、目を見開いた。
「つ、ついに日奈子ちゃんまでエスパーに!?」
「違うよ。」
今のだったら、誰にだって分かっるって。
「あ、そんなことより!『恋人迷路』って知ってるか!?」
すると、澄春くんが口を開いた。
「知って……」
「澄春以外!!!!!」
澄春くんが言い終わらないうちに、大輔くんが口を挟んだ。
「澄春が知ってるのは予想してた。だからそれ以外の人!!」
ということは、私と京くんか。
「私は知らない。」
「僕も。」
すると、大輔くんは、たちまち得意げな顔になった。
「『恋人迷路』ってのはな、2人で出てこられたら、その2人は永遠に結ばれるっていう迷路で、文化祭の後夜祭でやるんだって。」
「へぇ。なんかロマンティック……!」
一瞬だけ颯磨くんが頭を過ぎり、慌てて消す。
「だ、大輔くんは、誰かと行くの?」
「それがなー、迷ってるんだよ。なんてったって、俺はモテモテだからなー。」
嬉しそうに話す、大輔くん。
「日奈子ちゃんは颯磨と行けば?」
「っ……!なっ……!!」
ちょっ!大輔くん!!!
「な、何でよ。」
「何でって、俺的にお似合いだから。」
っ……!?!?
「で、でも颯磨くんは、私のことなんて……」
ガラッ!
その瞬間、保健室のドアが勢いよく開いた。
「日奈子!!」
え……。
「健吾……。」
あー……。
完全に記憶から消されてたな……。
「『恋人迷路』、もう誰と行くか決まった!?」
「え、えっと、それは、まだだけど……。」
「まだなら、俺と行こう!」
もう、さすがに、お姫様の仮面を被らなくても、健吾を許せる。
でも、それとこれとは少し別だ。
「それはちょっと……、無理。」
私はすぐに断った。
「何でだよ。先約入ってないなら俺と……、」
「日奈子ちゃんは、僕と一緒に行くから。だから、無理です。」
えっ……!澄春くん……?
「誰だ……?」
「橋田澄春です。」
「お前より俺の方が先に……!」
「先とか後とか関係ありますか?」
澄春くん、どうして……?
グラッ
え、何で颯磨くんと被せてるのよ、私……。
「あの……!私、澄春くんと行くから……。」
勢いでそう言った。
私のせいで、澄春くんに迷惑かけたくないから。
「そんな……。で、でも俺、諦めないから!」
それだけ言うと、健吾は保健室を出て行った。
「澄春くん、ありがとう。ごめんね……。」
「え?いや……、僕の方こそムキになっちゃって……。ごめん。」
「そんなことないよ。凄く助かった。」
「なら、良かった。」
その時、保健室のすぐ側で、女子達の話し声が聞こえてきた。
「ねぇ、聞いた!?王子、『恋人迷路』、橋田と行くらしいよ!!」
えっ……、橋田さん……?
目の前が真っ暗になった。
「日奈子ちゃん?」
澄春くんの、そんな問いかけも、聞こえていなかった。
「は!?何それ!!図々しいにも程があるよね!」
「それな〜。」
颯磨くん……、あの美人な橋田さんと行くんだ……。
「そっか……。」
「日奈子ちゃん……!?大丈夫……!?」
終わったんだ。
とっくに、終わらせているつもりだった。
でも、何故か今、はっきりと分かった。
颯磨くんが私を好きだったのは、もう完全に過去の話。
遅かった。
遅すぎたんだよ……。
「ねぇ、澄春くん。」
だったら、もう諦めよう。忘れよう。
「本当に私と一緒に『恋人迷路』、回ってくれ ませんか……?」
「えっ……!?」
嫌だったら……、健吾でもいい。
「で、でも、本当にいいの……?」
そんなこと聞かれたって……。
「いいよ……。」
もう、嫌だから。
恋なんて、いいこと一つもない。
……好きにならなければ良かった……。