キミがくれたコトバ。
32.75 ②



小6に上がると、愛美はますます美人になった。

小6でクラス替えをしてからは、愛美のいじめも止まったみたいで、愛美も僕に謝ってきた。

「あの時は、酷いこと言っちゃってごめんね。私も余裕無くてさ。でも、また元に戻れるかな……?」

僕は嬉しかった。

だから、直ぐに許した。

それに、あれは僕も悪かったから。

それからは、一時的に平穏な日常が戻ってきた。

しかし、今度は身内で、事件が起きた。

愛美は運動もできて、勉強もできたため、いつも先生に褒められていたけれど、僕はどちらもいまいちだった為、親が学校に呼び出された。

「愛美さんはこんなに優秀なのに、澄春くんは何故優秀ではないんですか?少し怠けているのではないですか?」

そう言われた。

それから、僕に対する両親の風当たりは悪くなる一方だった。

身内で集まった時にも、話題はそれ。

愛美と僕の格差。

次第に僕は、劣等生として、扱われるようになっていった。

でも、愛美だけはそんな僕を励ましてくれて、僕も何とかやっていけていた。

「不安も多いだろうけど、中学生になっても、私は澄春の見方だからね。」

愛美だけはそう言ってくれた。

確かにそう言ったんだ……。

なのに……。

中学に上がると、父の仕事の都合で、僕達は、ド田舎の中高一貫校に通うことになった。

田舎だから、クラスが1クラスしかなくて、人見知りの僕は、取り敢えず愛美と同じクラスで良かったと思った。

しかし、そう思ったのも束の間。

僕は入学して1週間でいじめられることになった。

原因は、愛美だった。

ある日、1人の男子が言った。

「橋田愛美と橋田澄春って双子なの?顔似てるし、同じ苗字だし。」

「そうでしょ〜。だって2人、いつも一緒に帰ってるじゃん。」

「え〜、一緒に帰ってるの〜!?」

クラス中が騒ぎ始めた。

「まさか愛し合ってたりして〜。」

中学くらいだと、こんな風に冷やかす男子も沢山いた。

「双子愛!双子愛!双子愛!双子愛!」

からかわれてる……、どうしよう……。

その時、愛美が机を叩いて立ち上がった。

「双子愛?何言ってるの?私は澄春が昔から大嫌い。」

え……?

「私の後ばっかり付いてきて。でもとろくさいし、本当迷惑なんだ。」

愛美……?

「一緒に帰ってるのだって、澄春がただ着いて来てるだけだよ。」

さらっとそう言い放った。

「そうなんだ澄春。お前、キモいな。」

「私のこと、昔は『あいちゃん』って呼んでたんだよ。」

「うわ〜、マジか引くわ〜。キッモ〜。」

それだったら、愛美だって……!

「愛美だって、僕のこと『すー』って呼んでただろ!?」

「は?何の話?」

愛美は冷たく僕を突き放した。

「何だよ妄想かよ〜、痛いなお前!!」

「みんな〜!今日から澄春には近づくなよ!澄春菌が付くから!!」

そう言われた。

そしてその日から、靴を隠されたり、教科書を破られたり、机に花瓶を置かれたり……。

そして、愛美とも距離ができ、次第に学校へ行かなくなった。

そのうち、父の仕事の都合で、再び転校が決まり、高校はちゃんと行かなくちゃいけないから、死ぬ気で勉強した。

絶対、愛美よりも良い高校へ行くんだって。

そればかり考えてた。

でも、受験した高校を、何故か愛美も受験していて、学科もクラスも同じだと知り、僕は保健室登校となった。
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