キミがくれたコトバ。
最終章
37



颯磨くん、どうしたんだろう……?

放送で、大輔くんと颯磨くんと澄春くんが呼び出されていた。

アンケートとか何とかって言ってたけど、3人に関係することといったら、『保健室登校』ということしか思い当たらない。

颯磨くんは過去形だけど。

本当は、行って欲しくなかったな。

そんなこと言えないけど、やっと颯磨くんと2人きりになれたのにな。

なんて!違う違う!

っていうか、まず、どうして颯磨くんは電気が消えた時、私を引き連れてあの場から逃げたの……?

橋田さんと間違えたとか……?

いや、颯磨くんに限ってそれはないか。

じゃあ……、

「あ!日奈子ちゃんじゃん!」

「あっ。」

颯磨くんのファンの子たち。

最近は何故か私に優しい。

「1人?」

「うん。あ、さっきまで颯磨くんがいたんだけど。」

「えっ!?王子が!?じゃあ、日奈子ちゃんと王子、ついに付き合ったってこと!?」

なっ……!

「そ、そんなわけないっ……!」

「何でよー。」

な、何でって言われても、颯磨くんは別に私のことなんか……。

「照れちゃって可愛い〜!」

「早く付き合っちゃいなよっ。」

「あ、え、えっと……。」

何と返答したら良いのか分からず、戸惑ってしまう。

「そういえば、知ってる?王子達、今から放送室でインタビュー受けるってー。」

放送室?インタビュー?王子『達』……???

「何のこと???」

「え、日奈子ちゃん知らないの!?」

「うん。」

「なんかさっき、王子達が放送で呼び出されてたでしょ?」

私は頷く。

「実は『恋人迷路』を行う上で、『一緒に迷路を体験したい人は誰ですか?』っていうアンケートを密かに行ってたみたいで、あの3人がトップ3に選ばれたらしいの。」

えっ!?!?

す、凄っ……!!

「それで、放送室で独占インタビューだって。」

へぇ!やっぱり他の人から見ても格好良いんだ。

まあ、『王子』と呼ばれるくらいだからね。

「体育館のスクリーンで見られるらしいよ。」

「え〜、でも私はやっぱり放送室へ行きた〜い。」

「馬鹿、あそこは混んでるに決まってるでしょ!」

「生を見たいなら放送室前、しっかり見たいならスクリーンといったところね。」

す、凄い……。みんな、目の輝きが半端じゃないよ。

前に、どこかの事務所に名刺を貰って喜んでいた大輔くんみたい。

「日奈子ちゃんはどうするの?」

「えっ、あ、えっと……。た、体育館で。」

颯磨くんの姿は見たい。

でも、私が好きなのは、『王子』である颯磨君じゃないから……。

だから、生で見るのはいいかな。

「そっか〜。うちらは放送室にするから、行ってくるね。」

「うん。」

「じゃ〜ね〜、日奈子ちゃん。さっさと王子を自分のものにするんだよ〜!」

っ……!!

は、恥ずかしいっ……!
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