キミがくれたコトバ。
38.5 続



いない……。

体育館まで来たのに、そこに日奈子はいなかった。

あいつらの言っていたことは、嘘だったのか……?

いや、そんなこと有り得ない。

嘘をつく時の目じゃなかった。

だとしたら……、日奈子がいる可能性が高そ……!!!

息が止まった。

思考が停止した。

だって、目の前に……、

「日奈子……!!!」

日奈子が、反対側から走ってきたんだ。

「そ、颯磨……く……っん……!」

その瞬間、日奈子は僕に背中を向け、反対側へ走っていった。

えっ…………?

逃げられた…………のか…………?

何で…………。

だって、さっきまでは……。

僕は首を振る。

考えられる可能性を全て考えて、何が真実なのかを推測する。

それが一番楽だと思っていた。

一番早く、正解に辿り着くことのできる方法だと思っていた。

でも、違う。

ちゃんと目を見て、話さなくちゃ伝わらない分からないことだってあるんだ!

「日奈子、待って……!」

君の姿はもう見えないけど、分かるよ。

君が何処へ向かおうとしているのか。

なんとなくだけど……。

追いかけて、聞きたいことが、話したいことが……、

聞かなきゃいけないことが、話さなきゃいけないことが……!

沢山あるんだ。
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