キミがくれたコトバ。
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キ、キスしちゃった……!

そ、颯磨くんと……。

ゆっくりと唇が離れる。

一度、キスをしたことがあるけれど、あれは、颯磨くんのこと、何も知らなかったから、颯磨くんであって、颯磨くんではなかった……から……。

や、やっぱり夢なのかも……。

だって、颯磨くんみたいな凄い人が、私なんて好きになるわけない!

『僕が好きなのは、日奈子の身長じゃないってことだ。身長が低くて不快に思ったことも無いし、身長が低いから特別可愛いと思ったことも無い。』

あの言葉は、友達としてっていう意味で……。

私は両頬をパチンパチンと叩いて、夢か現実かを確認した。

「もしかして、夢だと思ってたり……?」

私の動作を見て、颯磨くんが言った。

「ど、どうして分かったの!?」

「流れ的に、そうだから。」

な、流れ的……!?凄い……!

いまだに、颯磨くんの洞察力には毎度毎度、驚かされる。

颯磨くんは、いつもみんなの先の時間を生きているみたい……。

「ちゃんと好きだよ。」

っ…………!!

「ど、何処が!?」

だって……、

「だって私、こんな見た目で、同級生には今までちゃんとした女の子として見られたことなんてないし、それに、たまに悲劇のヒロインみたくなっちゃって、ウザいところあるし、それに……!!」

その瞬間、颯磨くんの手が私の口を覆った。

「誰が来た……!」

颯磨くんは、そう言うと、保健室の全てのカーテンを閉め、ドアには内側から鍵をかけ、電気を全て消した。

「王子さぁ〜、何で急にいなくなったの?」

保健室の外から、数人の女子の声が聞こえてきた。

いや、数人じゃない……。

「最初から女がいたとか?」

「どんな子かな〜??」

「どんな子でも許せないっしょ。王子を独り占めなんて。」

「言い過ぎだよ〜。」

「私はどんな子でも、許せるもん!」

「ふんっ。偽善者めが!」

これ……。会話的には2 , 3人の会話に聞こえるけど……、違う。

十数人だ……!!!!!

「取り敢えず、ベッドに隠れるぞ!」

「へっ?」

一人でパニックになっているうちに、気づいたら、ベッドの中で、颯磨くんに抱きしめられていた。

「一旦は、ここで待機。」

へ、へっ!?た、待機……!?

大変なことになってしまった……!!
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