キミがくれたコトバ。
42



「やっぱり保健室、怪しくない?」

とうとう感ずかれてしまったみたいで……。

さっきから、鼓動が止まらないのは、バレたくないから……?

それとも……。

“まずい。怪しまれたみたいだ。”

颯磨くんが澄春くんにメッセージを送る。

2人がこんなに仲が良いなんて、知らなかったな。

いつの間に……?

“僕が今から保健室の前まで行って、大衆の注意を保健室から背けさせる。その間に、2人で逃げて。”

“了解。何か合図してくれるとありがたい。”

“大声で叫ぶ。僕の声、分かるよね?”

颯磨くんが保健室登校をやめて、その後すぐに澄春くんが保健室に来た。

だから、2人には接点がほとんどないはずだけど……。

“大丈夫。分かる。”

颯磨くんのことだから、きっと1度で覚えて、忘れることもないんだろうな。

「日奈子。」

颯磨くんがベッドから降りて、私も慌ててベッドを出た。

は、恥ずかしい……。

さっきまで、このベッドに2人で……!?!?

か、考えるのやめよう!!

「ごめんな。」

見たことがない、悲しそうな顔だった。

「えっ……?」

「こんなことに巻き込んで。」

私は首を横に振った。

「僕が、王子って呼ばれてるのに、本当の王子じゃないから……。」

「そんなこと気にしないで。」

だって私にとって颯磨くんは、『王子』じゃない。

「それに、ちょっと楽しかったりもしてるんだ。不謹慎かもしれないけど。」

私は笑う。

「それなら、良かった。」

颯磨くんがそう言った時、澄春くんからメッセージが届いた。

“そろそろだ。準備宜しく!”

“了解。”

颯磨くんが私の手を握った。
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