キミがくれたコトバ。
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「っていうか、その子は誰?」

上手く逃げたと思ったのに、3人の女子に捕まってしまった。

「まさか彼女じゃないよね?」

やっぱり、私なんかが颯磨くんの彼女だなんて、許されないことだったのかな……?

そもそも私、本当に颯磨くんの彼女なの?

好きとは言われたけど、付き合うとは言っていない……。

嫌な方にばかり、考えが進んでしまう。

どうしていつも、こんなにネガティブなんだろう……。

「答えられないってことは、本当にこの子なんかが彼女ってこと?」

「それは……。」

全部、私のせいで、私がしっかりしていないから……。

すぐ悲劇のヒロインぶるくせに、そこから抜け出そうとせず、ただ現実を恨むだけで、何も努力しないから……、だから……!!

私が、私が……。

ちゃんと言わなきゃ……!!

「ねえ、君達!!」

大きく息を吸って、言葉を発した。

……いや、違う。

発する前に、他の誰かが叫んだ。

「王子だか何だか知らないけど、こんな奴の何処が良いわけ?だったら、俺の方が格好良いだろ!」

………………!!!!!

驚きすぎて、言葉が出ない。

ああ、『目からうろこ』って、こういうことを言うんだな……。

「け……、健吾……!?」

目の前に立っていたのは、なんと、健吾だった……。

「最近、登場回数が少ないから、作者に忘れられたのかと思ったぜ!まあ、でも覚えてくれてたみたいで?ラッキー、ラッキー。」

ノリ、軽っっ……!

「何なのよ、あんた!うちらは颯磨王子に用があるの。どいて!」

しかし、健吾に引き下がる様子は見られなかった。

「颯磨も日奈子も、ボーッとしてないで早く行け!」

健吾が叫んだ。

「ここは俺が何とかしておいてやるから!」

「健吾……。」

助けてくれるの……?

「ちょっと、どきなさいよ!」

「通して!」

私は颯磨くんの顔を見つめた。

〝行ってもいいかな?〟

颯磨くんは、ゆっくりとうなづいた。

〝うん、行こう。〟

そしてその瞬間、颯磨くんが走り出した。

「あ!ちょっと!逃げた!颯磨王子〜!」

「健吾、あり……」

「礼はいらない!俺……、酷いことしたから……。だから……、せめてものお浴びだ!ほら、早く行けよ。颯磨が待ってんだろ?」

健吾……。

「うん。……ありがとう!」

「あー、だから礼はいらねーんだって!」

私は健吾に手を振ると、颯磨くんの元へと走った。
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