私が恋した愛しい彼。
椎名 舞side

かっこいい。
付き合って。

寄ってくる女の子はみんなそう言ってきた。

顔が整ってるとか、身長が高いとか。



なら、性格が悪くてもいいのかって考える俺もどうかとおもうけど。



入学したばかりの時は、ずっとそんな感じだった。



5月になって、席替えをして隣の席になった女の子は俺に寄ってくるどころか、話しても来なかった。

俺から話しかけても、目を合わせないで。


シャイでおとなしい子。



俺はその子のことが気になって気になってしょうがなかった。





話すきっかけがほしくて、わざと消しゴムを落とした。


俺何やってるんだろうって思う。





「あっ、はい。落ちたよ?」



はじめて声を聞いた。



やべぇ………、好きかも。




「ねぇ、俺のことかっこいいって思う?」




目をキョロキョロさせるみいちゃん。


犬みたいで可愛い…。



「みんなが運動神経いいって言ってて…、あと、優しい人だと思う。かっこいいかどうかはわからない、けど…」



絶対この子いい子でしょ。




ずっと名前が女みたいで馬鹿にされてた。
高校に入って、顔だけみるやつが増えて嫌な気はしなかった。

でも、好きになることはなかった。

そんな時、隣に来たみいちゃん。



























これが俺の初恋の瞬間だった。

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