私が恋した愛しい彼。
帰り道。


はぷなと駅まで一緒だから、いつも通り昇降口まで待っている。


ぞろぞろと蟻の行列のように昇降口から出てくる生徒達の中にあのイジメっ子たちが混ざっていた。



「(…っ。お願い、気づかないで。)」




幸いあっちは話に夢中で気づいていない。





はぁ。

いつまでビクビクと怯えてないといけないんだろう。

こんな自分が嫌だ。





トントンと肩を叩かれ、後ろを振り向く。






心臓がドキドキする。
コワイ。
キモチワルイ。

肩…触られた……。


体が震えて、、ダメかも。


呼吸もまともにできない。

「みいちゃん?!」


椎名くんだ。



大丈夫。大丈夫。大丈夫。

椎名くんだから。

嫌いなわけじゃないのに。




「大丈夫…大丈夫…だよ」


それでも震えが止まらない。



やっと男の人と話せるようになったのに。

いきなりとか、触られるとか。



これじゃ、男の人に酷いよね。



1歩私に近づいてくる椎名くん。



「い、いや…!」




「みいちゃん、帰ろー!」


またまた後ろから声がする。



はぷなっ…、私の救世主だよ。





「はぷなちゃんだっけ。「ごめん、話しかけないで。帰ろ?みい。」…」




はぷな、、それは言い過ぎなのでは?
と、思うことももうなくなった。いつものこと。



私の腕を掴んで椎名くんから遠ざける。




はぷなみたいなおとこのこいたら惚れるよ。ホントに。






でも、椎名くんに申し訳ない気がして後ろをチラッと振り返る。




椎名くんは心配そうに私を見つめ、すぐに女の子に囲まれていた。
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