私が恋した愛しい彼。
「みい?会いたかったよ?」

そう言って、ソジュンさんは私をぎゅっと抱きしめる。

そんなに切なそうに言わないで。

そんなに震えた声で囁かないで。


「ソジュンさん…。」


見つめ合う私達。










「みい!手、止まってるよ?!」


ハッとする私。


朝練終わり、体育館の掃除は一年生がやるという決まり。


「(やばい…。いつの間にか妄想が)」



「あっ、ごめ。大きな声出しちゃって。もしかしてみい、具合悪い?」



「そ、そんなことないよ。ごめんね。」


そう…と心配そうに見つめる部活仲間のはぷな。


最近仲良くしてもらってるんだ。


はぷなってすごい名前だよね。
おじいさんがハワイの人で、はぷなはハワイ語で命の海?泉?って言う意味だって言ってたような…?


よくわからないけど。



「ホントに大丈夫?顔赤いよ?」


はぷなはとても思いやりのある性格の良い子。

でも、私と一緒で男嫌いだから男子はよく遠くから見ている。


つまり、すごいモテる。


私はモテない、うん。男の人は苦手だからいいの。ソジュンやソジュンのグループのメンバーさんは別だけど。




ホントのホント?って何度も聞いてくるはぷなの後ろには私がとっても嫌いな人達が…



「ねぇ、掃除遅くない?のろのろのろのろって…亀さんですかぁ?」


ケラケラ笑ってる無駄にモデル体型なこの子は私と同い年の同じ部活の子。
周りにいるのもそう。


「まじありえないよねー。先輩とか先生から気に入られてるからって調子乗ってるのかな?」




悪口を言われて気分のいい人なんていない。
喉がぎゅっと締め付けられ、鼻がツンっとなる。
またかって思っても、イラつきと共に涙が出そうになる。



「おっ、泣く?泣くのー?泣き虫とかキモいんだけどー。」





バンっ




大きな音が鳴る。




はぷなが掃除で使っていたモップをその子達の足元に投げつけた。





「うっわ、ホコリ舞ったじゃん!なにするの?!」




「さっきからグチグチグチグチって妬みを…。努力しないくせにあんた達に悪口を言う権利あるの?」



は、はぷなぁぁ…。私の天使。




「うるさい、権利とか必要ある?ってか、はぷなもコイツのこと嫌いでしょ?!先生から可愛がられて、先輩からも可愛がられてコートにもスタメンで入ってさ。先輩を差し置いて。」



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