どうがん彼氏


家まで走ると
また浩太が
練習してた。


私は急いで
そこを
走り抜けた。


視線を感じる。


浩太の視線を。


痛いほどに
背中に感じる。


私が郵便受けを
チェックするとき。


オートロックの
ドアを開けるとき。


どんなときも


私を見てる。


こんなに浩太が

私を見るのは
゛あの日゛以来。


私は今どんな
顔してるんだろ?


浩太がすごく
心配そうに
見てるから

私は後ろを
振り向くことが
できなかった。


今日は
月が綺麗だね。


綺麗すぎて

世の中にまだ
生きてても
いいかなって

そう思う。


だからまた

今夜も私は
自分を傷つけた。


またひとつ
傷が増えた。


心と腕に。
< 24 / 45 >

この作品をシェア

pagetop