どうがん彼氏
家まで走ると
また浩太が
練習してた。
私は急いで
そこを
走り抜けた。
視線を感じる。
浩太の視線を。
痛いほどに
背中に感じる。
私が郵便受けを
チェックするとき。
オートロックの
ドアを開けるとき。
どんなときも
私を見てる。
こんなに浩太が
私を見るのは
゛あの日゛以来。
私は今どんな
顔してるんだろ?
浩太がすごく
心配そうに
見てるから
私は後ろを
振り向くことが
できなかった。
今日は
月が綺麗だね。
綺麗すぎて
世の中にまだ
生きてても
いいかなって
そう思う。
だからまた
今夜も私は
自分を傷つけた。
またひとつ
傷が増えた。
心と腕に。