人面瘡
呪い
あたしの膝にできた女の顔を見た雄生は青ざめていた。


後ずさりをしてあたしから距離を置き「なんだよこれ……」と、呟く。


その間にも膝の女は何事がブツブツと呟いている。


あたしは口をガムテープでふさいだことが気に入らなかったのかもしれない。


「あたし、体育の授業で怪我をしたでしょ? あの傷が治らなくてどんどん悪化してきたの」


説明している自分の声がひどく震えていた。


雄生に嫌われることがこわかった。


「でも、あの怪我は小さかったし1か月以上前の話しだろ?」


雄生の言葉にあたしは頷いた。


「信じられないかもしれないけど、本当のことなんだよ」


あたしはそう言い、うつむいた。


後は雄生がどういう態度に出るかだけだった。

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