人面瘡
「なにも心当たりはないのか?」


その質問にあたしは顔を上げた。


見ると、雄生は青ざめていはいるけれど逃げるような気配はなかった。


「心当たり……?」


「あぁ。普通に怪我をしただけじゃこんな事にはならないだろ。何か特別な事したんじゃないか?」


「特別なこと……」


あたしは怪我をした日のことを思い出していた。


体育の授業で怪我をして、保健委員の沙和に保健室まで連れて行ってもらったんだ。


だけど保険の先生はいなくて、沙和が手当てをしてくれて……。


そこまで考えてハッと目を見開いた。


「ジンクス」


小さく声に出してそう言った。
< 108 / 204 >

この作品をシェア

pagetop