人面瘡
沙和の言葉にあたしは息を飲んだ。


沙和が雄生を好きだった?


そんなの全く気が付かなかった。


沙和は好きな人がいないと言っていたから、あたしはそれをずっと信じていた。


そして、沙和はあたしと雄生のことを応援してくれていたのだ。


なんでもないフリをして応援してくれている沙和の心の中には、真っ黒な感情が渦巻いていたに違いない。


「アズサなんか、呪いで死んじゃえばいいと思ってたよ」


『死んじゃえばいい』その言葉が胸の奥深くにまで突き刺さる。


沙和があたしのことをそんなふうに思っていたなんて、全然気が付くことができなかった。


「お願い沙和、呪いの解き方を教えて」


「はぁ? 教えるワケないじゃん」


沙和は冷たい言葉を残して、一方的に電話を切ってしまったのだった。

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