人面瘡
☆☆☆

それから沙和に何度電話をかけ直してみても、出てくれなかった。


自分の汚い部分をさらけ出した沙和は、もうあたしとは友達でいる気はないのだろう。


大好きな友人に裏切られていたこと。


友人の気持ちに気が付く事ができず、知らない間に追い詰めてしまっていたこと。


それらが押し寄せてきて、あたしは涙が止まらなくなってしまっていた。


いくら雄生が隣にいても溢れ出す嗚咽と涙はどうすることもできなかった。


本当に、ずっと友達だと思っていた。


一番仲よしで、これから先も仲良くしていくと思っていた。


それが、一瞬にして砕け散ってしまったのだ。


「アズサ。お前には俺がいるだろ」


雄生があたしの体を痛いくらいに抱きしめてくれる。


「あたしは……沙和の気持ちに気が付かなかった!」


「仕方ないだろ。俺だって、あいつの気持ちを知らなかった」


「本当に、大切だったのに……!」
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