人面瘡
☆☆☆

放課後までの時間がこれほど待ち遠しかったことは初めてかもしれない。


あたしは黒板の上に設置されている時計を何度も確認し、針がのんびりと動いていくのを見てはため息を吐き出した。


あたしはいつか雄生のお嫁さんになる。


幼い頃からぼんやりとそんな夢を持っていたけれど、実際に行動に移したことは今までなかった。


幼い頃よりもグッと遊ぶ回数が減り、雄生とあたしの間には距離ができて来ていた。


このままじゃダメだと思っていた矢先の、ジンクスだった。


今朝偶然雄生に会えたことから、あたしの気持ちは前向きに馴れていた。


雄生は変わらない笑顔をあたしに向けてくれている。


それならきっと大丈夫だという、安心感が生まれていた。

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