人面瘡
昔の事が書かれている資料は地名も今と違っているため、探すのに苦労する。


あたしはスマホを取り出して、資料に書かれている地名を検索した。


「今では沼田っていう場所になるらしいけど、聞いたことないよね」


「沼田? 隣の県にそんな地名があった気がするけど」


地図上に印をつけて行くだけでも、かなりの時間がかかる。


沼田という地名だけでも日本中に数カ所あることがわかった。


左腕も、右足も、左足も、それぞれ候補となる土地はいつくも見つかって行く。


そのどれもに印をつけて行く雄生。


最後の胴体になった時、印は10カ所を超えていた。


「これじゃ本当に埋められた場所なんてわからないよ……」


「心配するなって。隣の県くらいなら自分たちで調べに行くこともできるだろ。おつねの体が埋められていた場所には墓が建てられてるんだから」


「そうかもしれないけど……」


地図上ではここから何十キロも離れたカ所もある。
< 157 / 204 >

この作品をシェア

pagetop