人面瘡
「アズサ、さっきからボーっとしてどうしたの?」


沙和の声にハッと我に返った。


今は地理の時間で、グループを作って調べものをしていたところだった。


あたしはもちろん、沙和と同じグループだった。


「ごめん。色々考えてた」


そう言って頭をかくと「どうせ雄生の事を考えてたんでしょ?」と、図星を突かれてしまった。


沙和のことを誤魔化す事はできないらしい。


「実は放課後一緒に大志の家に行くことになったの」


「うそ、すごいじゃんアズサ!」


「ちょっと沙和、声が大きいよ」


あたしは慌てて沙和を止めた。


雄生のファンはクラス内にも何人かいる。


その子たちに聞かれたら邪魔をされてしまうかもしれない。
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