人面瘡
幸せな時間
待ちに待った放課後がようやくやって来た。


あたしはチャイムが鳴ると同時に雄生の席へと向かった。


「悪いなアズサ。付き合わせちまって」


2人で歩きながら雄生が申し訳なさそうにそう言ってきた。


「大丈夫だよ。あたしも行きたかったし」


こうして2人で肩を並べて歩いている。


それだけであたしにとってはとても幸せなことだった。


「なに? もしかして大志のことが好きとか?」


ニヤニヤとした笑顔を浮かべてそう言う雄生に、あたしは慌てて首を振った。


「なに言ってんの。そんなワケないじゃん!」


「そんなに慌てて、逆に怪しいっつーの」
< 18 / 204 >

この作品をシェア

pagetop