人面瘡
☆☆☆

次の瞬間、あたりは光に包まれていた。


なにも見えないくらい眩しく、おつねの声もいつの間にか消えていた。


お墓にいたはずのあたしたち3人はその光の中に立っていた。


あたしの足を掴んでいたハズの手も、綺麗に消えている。


ここはどこだろう。


そう言いたかったのに、声に出なかった。


見ると、雄生や春子のお父さんも混乱している。


光が徐々に和らいでいったその先に見えたのは、写真でみたおつねの姿だった。


けれど今は白黒じゃなく、ちゃんと色が付いている。


血色のいいおつねの顔。


赤色のとても美しい着物に、艶やかな髪の毛。


そしてその隣には、見たことのない男性が立っていた。


おつねより10センチほど背が高く、色黒の青年だ。


2人は互いに見つめ合って立っている。


2人は恋人同士なのだと、すぐに理解できた。
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