人面瘡
妄想の世界で自分も誰かと笑い合っているようだ。


「やっぱりあのジンクスは本物だったんだね」


沙和の言葉にあたしは頷いた。


偽物だったとしても、ジンクスを行う事で自分が前向きになることができる。


それを考慮すると、きっと本物だと言えるだろう。


「沙和も好きな人で試してみたら?」


「あたしはまだいないから」


沙和はそう言って悲しそうな表情になった。


「早くあのジンクスを試せる相手が欲しいなぁ」


「沙和ならすぐできるって」


あたしは沙和の背中を叩いてそう言った。


「あたしに好きな人ができるまではジンクスのことは誰にも秘密ね?」


「なんで?」


そう聞くと沙和はとても真剣な表情でこう言った。


「だって、ジンクスを知った子が先に試しちゃったら、あたしが両想いになれないじゃん!」


と、沙和は頬を膨らませたのだった。
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