人面瘡
高校に入学してからも同じクラスになって、もう親友と呼べるような関係になっている。


「ごめんね沙和。授業中なのに」


あたしは沙和に支えてもらいながら保健室へと向かっていた。


「いいって。あたしも暑すぎてボーっとしてたところだもん」


沙和が白い歯をのぞかせて笑った。


グラウンドから逃げる口実ができたことを喜んでいるようだ。


2人して保健室へ向かうと冷房がきいていてまるで天国の様だった。


汗が徐々に引いていくのを感じる。


「先生はいないから、あたしが手当てしてあげる」


沙和はそう言うと、あたしとパイプ椅子に座らせた。


沙和は手慣れた手つきで白い棚から消毒液と絆創膏を取り出した。


「そのくらいの傷ならガーゼとかはいらないと思うから」


そう言い、あたしの前に座って消毒液の蓋を開けた。
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