人面瘡
「ウミとか痛そう! 大丈夫なの?」


「全然平気。それより、雄生知らない?」


あたしは教室の中を見回してそう聞いた。


春子と会話をしている間も雄生は戻ってきていない。


トイレかと思ったけれど、それにしては長い。


「雄生? さっき慌てた様子で出て行ったよ?」


「どこに行ったか知ってる?」


「さぁ、ごめん。そこまでわかんないや」


春子の言葉になんとなく嫌な予感がした。


あたしは右膝に視線を落とす。


今はジンクスを行う事ができていない。


もし、ジンクスを行うことができていないから、雄生があたしから離れたのだとしたら……?


そう思い、あたしは慌てて左右に首をふったそんなことあるハズない。


ジンクスはただのジンクスだもんね。
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