人面瘡
あたしは昔から雄生の名前を書いてたよ。


ずっとずっと、好きだったから。


心の中でそう言った。


「あたしに話す事ってなに?」


気を取り直してあたしはそう聞いた。


雄生は少し視線を伏せて「あぁ……」と、呟くように言った。


なにか言いにくい事なのかもしれない。


あたしはジッと雄生の次の言葉を待った。


話しにくい事でもあたしに話してくれようとしていることが、嬉しかった。


「今日、孝彦が2年生に絡まれてたんだ」


雄生の言葉にあたしはゴクリと唾を飲みこんだ。


その話はもう知っていたけれど、「そうなんだ」と、返事をした。


「その相手がお前の事が好きならしい」


「へ?」


予想外の言葉にあたしは目を丸くして雄生を見た。


2年生の先輩があたしの事を好き?
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