人面瘡
凸凹
雄生があたしを心配してくれているのはとても嬉しかった。


けれど、知らない先輩に好きになられていると知ったあたしは、少しだけ恐怖も感じていた。


誰かに好かれることは嬉しいことだけど、孝彦に絡むような相手に好かれても嬉しくない。


モヤモヤとした気分のまま、お風呂へ入るためガーゼを外した。


その瞬間あたしは「えっ」と呟いていた。


学校にいた時にはまだ血が滲んでいた傷口が、今では固い皮膚に覆われているのだ。


カサブタのように見えるけれど、その色は皮膚と同じ肌色なのだ。


恐る恐る触れてみると若干のかゆみを感じる。


指先で触れられているような感覚はなく、表面がボコボコと波打っている。


「気持ち悪い」


あたしはそう呟いて、傷口を見ないようにしてお風呂へ向かったのだった。
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