人面瘡
焦りはじめた時、沙和が「雄生は鈍感だから気が付いてないと思うと」と、言って来た。


その言葉にホッとため息を吐き出す。


「そうだよね。あいつは鈍感だよね」


雄生（ｵｳｾｲ）とあたしは幼馴染だった。


幼稚園の頃から一緒にいて、高校に入学してからも同じクラスになれている。


ここまでずっと一緒にいるとなんだか兄弟みたいな感じになっていて、甘いムードになった事は今まで1度もなかった。


それでもあたしはずっと雄生の事が好きだった。


いつか雄生のお嫁さんになれますように。


それが、あたしの幼い頃からの夢だった。


「そろそろ進展してほしいと思わない？」


沙和にそう聞かれて、あたしは頷いた。


ずっとこのままなんて嫌だ。


雄生もあたしも、もう高校生だ。


子供の頃とは違い、雄生はどんどん逞しくなっていてそんな雄生を見ていいなって行っている子も少なくない。
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