人面瘡
まるで、膝にもう1人人間がいるような感じだ。


「これ、顔に見えるね」


沙和が震える声でそう言った。


「そうだよね……」


沙和は青ざめている。


何を言っていいのかわからない様子で、ジッと傷口を見つめている。


「病院で薬を貰っても、全然良くならないの」


「そんな……。でもこの傷痕よく見たら雄生の顔に似てない?」


沙和の言葉にあたしは目を見開いた。


「雄生の……顔?」


あたしは傷口を見つめた。


そう言われれば似ている気がする。


男っぽい顔立ちだとは思っていたけれど、まさか雄生の顔に似ているなんて考えていなかった。


「でも、なんでこんなことになったんだろうね」


沙和が再び首を傾げた。
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