人面瘡
☆☆☆

「アズサが無断で学校を休むなんて珍しいな」


少し落ち着いて来たあたしに、雄生がそう言った。


「うん……」


あたしは雄生が勝って来てくれた暖かいコービーを飲んでそう返事をした。


思えば今日は何も口にしていない。


暖かいコーヒーが体にしみわたって行くのを感じる。


「それにその足。手術して良くなったんじゃなかったのか?」


怪訝そうな顔でそう聞いてくる雄生に、あたしはグッと言葉に詰まってしまった。


今この包帯を解いて見せたら、雄生はなんというだろうか?


怖がって逃げてしまうかもしれない。


別れようと言われるかもしれない。


そう思うと、とてもじゃないけれど本当の事は言えなかった。


「大丈夫だよ。術後ちょっと痛みがあるだけだから」


「本当か? ちゃんと病院に行ってるんだろ?」


「うん。大丈夫だよ、だから今は……」


あたしはそこまで言って雄生に体を寄せた。


今はこうして寄り添っていたい。


すぐ近くに雄生の温もりを感じることで、少しでも安心することができるから。


雄生は何も言わずにあたしの肩を抱きしめてくれていたのだった。
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