人面瘡
☆☆☆

1人でいたくない。


そう思っている日に限って両親の帰りは遅かった。


雄生も用事があって帰ってしまって、あたしはまた1人になってしまった。


少しでも気分を変えるためにリビングへ向かい、テレビを付けた。


夜のニュース番組を見ながらも、意識は自分の右膝へと向かって行ってしまう。


包帯の下ではまだモゾモゾと何かが動いている感覚がする。


それを感じる度に全身に鳥肌が立った。


恐怖で悲鳴を上げてしまわないよう、ジッとテレビ画面に集中していた時だった。


スマホが鳴りはじめてあたしは画面を確認した。


沙和からのメールだ。


《今からそっちに行ってもいい?》


そんな短いメールだった。


《大丈夫だよ。でも、どうしたの?》


《今日両親ともいなくて暇なの。アズサの体調も心配だし》


そのメールに思わず涙がでそうになってしまった。


他の友達もみんなあたしの事を心配してメールをして来てくれている。


《沙和が来てくれるなんて嬉しい! 待ってるね》


あたしはすぐにそう返事をしたのだった。
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