校舎内鬼ごっこ

気持ちを切り替えられたところで、よしっ！と気合を入れてから、体を右に向け少し歩く。
隣の家の扉の前に立ち、インターホンを鳴らした。ガチャッという音と共に、「はーい」といつもの聞き慣れた声が聞こえる。


「おはようございます！沙紀です」

「あっ！おはよう、沙紀ちゃん！ちょっと待っててね」


ガチャリと鍵を開ける音が聞こえ、ドアがゆっくりと開くと、その声の主は笑顔で顔を覗かせた。そして、すぐに申し訳なさそうに眉毛を下げる。


「毎朝毎朝ごめんね〜…。今日も、なのよ。やっぱり沙紀ちゃんじゃないと駄目みたいで…」

「いえいえ！あっ、これ母からおすそ分けです」

「あらっ！すごく大きなスイカね！嬉しいわ〜持つの大変だったでしょう？ありがとう」


スイカを渡し終えたところで、慣れた手つきで家の中に通され、私も慣れた足取りで二階に続く階段へと向かう。
さて、と一息つくと、階段を一気に駆け上がった。

二階に着くと、突き当たりの部屋の前に立ち、深呼吸をしてから勢いよく扉をを開けた。