校舎内鬼ごっこ

「こらーー！！早く起きなっ！！！」



バンッ！という大きな音が響き渡るくらいの強さで扉を勢いよく開け、それに負けないくらいの大きな声で叫ぶ。

それでもピクリとも動かない布団を見て、思わず大きな溜め息をついてしまいながら、ズンズンと部屋の中を進んでいくと、ベッドのすぐ隣にある窓のカーテンをまた勢いよく開けた。

開けた瞬間、太陽の光が眩しく入ってきて、薄暗い部屋の中を一瞬で明るく変える。

その時になり初めて、ベッドの中にいる人物が「う〜ん…」と唸り、布団の中から顔を出した。



「……あれ、沙紀…？」

「いつまで寝てんのよっ！翔 (カケル) 」


そう言ってペシッと頭を叩くと、「いてっ！」と声を出し、叩かれた頭を撫でる。


「もう…遅刻するよ！毎朝毎朝寝坊して…。毎日起こす私の身にもなってよっ」

「まあまあ…そんなピリピリするなよ。一日の始まりが台無しだぜ？」



そんな屁理屈を言って、顔の特徴であるえくぼを浮かべ、ヘラヘラと笑う男は、私の古くからの幼馴染み、翔。

「寝坊が趣味」と言えるほど朝が弱くて、ヤンチャで……いわゆるお調子者。

こうして毎朝、幼馴染である私が起こしに来ているのだ。