校舎内鬼ごっこ
翔のお母さんに見送られながら、家を後にする。



私の家と、翔の家は、隣同士。

偶然同じ時期に引っ越してきて、また、その家族の子供が同い年で…そんな偶然が重なり、家族ぐるみで仲が良いのだ。

今でも互いの家に行くのはしょっちゅう。


よくピクニックとか遊園地とか一緒に行ったよなぁ…と思いながら、隣を歩く翔をチラリと見ると、「なんだよ?」と不思議な顔をした。



「あっ、そういえば沙紀、何かあったのか?」

「えっ何が?」

「いつもより顔色が悪いから」



えっ?と思わず疑問に思い、手鏡を取り出す。
確かに朝起きた時は悪かったが、今は顔も洗ったし、もう治っているはずだ。
鏡を覗くと、想像した通り、いつも通りの顔が映っている。



「別に…普通だよ?」

「いーやっ!そんなことないって。何年一緒にいると思ってんだよ?」


そう言ってコツンと私の頭を叩いた。


その言葉、その行動に、思わずキュンと胸が鳴り、顔が熱くなる。

その顔を見られたくなくて下を向くが、今度は下から顔を覗かれ、どうしようもなくなってしまい、困ってしまった。
< 8 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop