極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「……残念。お預けみたいだ」
頬に軽やかなキスを落とし、腕を解いた慶太さんは、リビング一角にある来客対応のモニターに近付く。
離れたその隙に呼吸を整え、無意味と思いつつ手で扇いで顔の温度を下げた。
「では、こちらに来ていただいてください」
そんな声が耳に入ってきて、慶太さんに振り返る。
下のコンシェルジュとのやり取りだと思われる対応を終えると、私の元へと戻り、自然な動作で腰に手を回した。
「誰か、お客様ですか?」
私の質問に「ああ」と答えながら、慶太さんは私を近くのL字に設置されているソファーへと連れていく。
まだ本格的に住める準備がされていない部屋の中で、この大きな白いレザーのソファーだけが存在感を放っていた。
「掛けて」と言われて腰を下ろすと、上質な手触りとふんわりとした座り心地にあっと驚かされる。
程なくして、再び部屋に呼び出しの音が鳴り渡った。