極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「あ、はい、ありがとうございます……」
当たり前だけど、そこに値段の表示はない。
私が選べば、慶太さんは何も言わずにそれを購入してしまうのだろう。
だけど、間違いなく私の常識を超えた桁違いのものばかり。
知識として、このブランドのエンゲージリングの平均価格は頭に入っているけど、一般庶民が手を出せる代物ではない。
「気に入るものがないのか?」
「あっ、いえ! そんなことは、全然!」
「じゃあ、どれにする?」
どれにする?なんて簡単に言うけど、その辺のアクセサリーショップで買い物をするような感覚で決められるわけがない。
黙ったままじっと並べられたリングを見つめていると、男性の販売員の方が持ち込んだケースから新たなリングを手に取った。
「こちらなどいかがでしょう? 出たばかりの新作で、まだ国内では未発売なんですが、今回は特別に取り寄せさせていただきました」