極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「あ、はい、ありがとうございます……」


当たり前だけど、そこに値段の表示はない。

私が選べば、慶太さんは何も言わずにそれを購入してしまうのだろう。

だけど、間違いなく私の常識を超えた桁違いのものばかり。

知識として、このブランドのエンゲージリングの平均価格は頭に入っているけど、一般庶民が手を出せる代物ではない。


「気に入るものがないのか?」

「あっ、いえ! そんなことは、全然!」

「じゃあ、どれにする?」


どれにする?なんて簡単に言うけど、その辺のアクセサリーショップで買い物をするような感覚で決められるわけがない。

黙ったままじっと並べられたリングを見つめていると、男性の販売員の方が持ち込んだケースから新たなリングを手に取った。


「こちらなどいかがでしょう? 出たばかりの新作で、まだ国内では未発売なんですが、今回は特別に取り寄せさせていただきました」

< 105 / 358 >

この作品をシェア

pagetop