極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


夕方から用があるという慶太さんは、その前に私を自宅まで送り届けると言い、二人で部屋をあとにした。

マンションの立体駐車時へと向かうと、すでに車が用意されていた。

慶太さんの所有する車は、予想通り最高級車、メルセデスSクラス。

ボディは濃いめなシルバー色で、シックで上品なものだった。

助手席のドア前まで連れて行かれると、手を取ったまま乗車させてくれる。

革張りのクリーム色で落ち着く雰囲気だけれど、私の気分は全く落ち着かない。

こんなラグジュアリーカーに腰を下ろしてしまって、申し訳ない気持ちでそわそわとしてしまう。

ハイグレードなマンションに、一流海外ブランドの販売員が訪問に来、送られるのはこの車。

さっきから卒倒するようなことばかりが立て続けに身に起こっていて、身体が一つでは追いつかない状態だった。

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